フィンガーボールとは?飲むと恥をかく理由と英国王室の神対応
フィンガーボールとは?飲むと恥をかく理由と英国王室の神対応とはどのようなものなのか? 背景や要点を整理してお届けします。
「フィンガーボールの水を間違えて飲んでしまったらどうなるのか」という疑問は、テーブルマナー初心者が最も恐れるシチュエーションの一つです。検索エンジンや知恵袋等のコミュニティでも「高級店で飲んでしまい、穴があったら入りたかった」という失敗談が後を絶ちません。
結論から申し上げると、フィンガーボールに入っている液体は通常の飲料水やミネラルウォーターであることが大半のため、口に含んだとしても健康被害や毒性はありません。しかし、周囲からは「テーブルマナーを知らない人物」として冷たい視線を浴びたり、同席者に気まずい思いをさせたりすることは避けられません。特にレモンやミントが浮かんでいると、アミューズ用のシトラスウォーターと錯覚しやすいため注意が必要です。
一方で、この「フィンガーボールを誤飲した客」に対して、主催者や周囲がどのように振る舞うべきかを示す、歴史的に名高い伝説が存在します。
英国ヴィクトリア女王が示した「真のエチケット」
19世紀の英国宮中晩餐会において、ある賓客がフィンガーボールの意味を知らず、運ばれてきた器の水をそのまま飲み干してしまいました。周囲の貴族たちが失笑を漏らしかけた瞬間、主催者であるヴィクトリア女王(またはエリザベス女王とも語り継がれる)は、一切の躊躇を見せずに自らのフィンガーボールを取り上げ、同じように優雅に飲み干したと伝えられています。女王の機転によって、その賓客は恥をかくことなく晩餐を終えることができました。
日本陸軍大将・荒木貞夫にまつわる知られざる逸話
この「恥をかかせない配慮」の美談は日本にも存在します。『Wikipedia』の記録や歴史資料によると、昭和初期の軍人・政治家である荒木貞夫が主宰した宴席でも、地方から招かれた不慣れな客がフィンガーボールの水を飲む事態が発生しました。その場が凍りつく中、荒木は咄嗟に自分もフィンガーボウルの水を飲み干し、主宰者として「客に恥をかかせまい」と咄嗟の機転で場を救ったとされています。このエピソードは、相手への思いやりを説く道徳的な題材として、実名を伏せた形で絵本の物語にも昇華されています。
マナーとは本来、形式で他者を裁くための道具ではなく、「同席者や空間にいる全員が心地よく過ごすための配慮」です。もし誰かが誤って口にしてしまった場合でも、決して笑ったり指摘したりせず、何事もなかったかのように会話を続けることこそが、一流の大人に求められる振る舞いと言えます。