タール便とは?黒い便と臭いの正体|胃潰瘍やがんの危険度と受診目安

タール便とは?黒い便と臭いの正体|胃潰瘍やがんの危険度と受診目安とは一体何なのか? 詳しい意味を簡潔に解説します。

タール便をもたらす背景疾患は多岐にわたりますが、臨床現場で遭遇する頻度が高い三大原因は「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」、そして「胃がん」です。いずれも粘膜のバリアが破れ、血管が破綻することで引き起こされます。

1. 胃潰瘍によるタール便

胃粘膜がピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)感染や強い精神的ストレス、あるいは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDsと呼ばれる解熱鎮痛剤)の乱用によって削れ、粘膜下層の太い血管に達すると噴出性の出血が起こります。食事中や食後にみぞおちの鈍痛を伴うことが多いものの、痛み止めを常用している高齢者などでは痛覚が鈍麻し、自覚症状のないまま胃潰瘍によるタール便が初発症状となるケースが少なくありません。

2. 十二指腸潰瘍の症状

胃から送り出された強酸性の胃液に十二指腸の粘膜が耐えきれず、潰瘍を形成する病態です。20代〜40代の比較的若い世代にも多く発症します。特徴的なのは十二指腸潰瘍の症状として現れる「空腹時や夜間の激しいみぞおちの痛み」です。食事を摂ると一時的に胃酸が中和されて痛みが和らぐ傾向がありますが、潰瘍が深部血管を傷つけると一気に大量出血を招き、黒色便や吐血に至ります。

3. 胃がんの初期症状と進行リスク

最も警戒すべき疾患が悪性腫瘍、すなわち胃がんです。胃がんは初期段階では自覚症状に乏しく、サイレントに進行します。しかし、がん組織が表面で崩れて自壊(じかい)を始めると、じわじわと毛細血管から持続的な出血が生じます。胃がんの初期症状として現れる出血は少量であることが多く、最初は便潜血検査の陽性にとどまりますが、病巣が拡大すると肉眼でも判別できるタール便となって現れます。「慢性的な胃のもたれ」「食欲不振」「短期間での体重減少」とともに黒い便が確認された場合、悪性腫瘍の可能性を最優先で疑わなければなりません。

4. その他の見落とせない上部消化管出血

飲酒後の激しい嘔吐によって食道と胃の接合部粘膜が裂ける「マロリー・ワイス症候群」や、肝硬変に伴って食道の静脈が瘤(こぶ)状に腫れ上がる「食道静脈瘤破裂」も挙げられます。特に食道静脈瘤の破裂は、数分から数時間のあいだに数リットルもの大出血を引き起こし、タール便とともに大量の鮮血を吐き出す致死的な救急疾患です。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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