さつまいもの茹で方で甘さが激変!水から極上に仕上げる科学と時間

さつまいもの茹で方で甘さが激変!水から極上に仕上げる科学と時間の注目されている理由を丁寧にまとめました。最新トレンドを一目で把握できます。

家庭でさつまいもを加熱する際、沸騰した湯にいきなり投入してしまう失敗が散見されます。しかし、さつまいもが甘くなる背景には、野菜の中でも極めて特殊な糖化のバイオケミカルプロセスが存在します。この鍵を握るのが、芋の内部に豊富に含まれる消化酵素「β-アミラーゼ」です。

日本調理科学会などの学術研究でも明らかなとおり、β-アミラーゼは生のデンプンには作用できません。デンプンが水分を吸って柔らかくなる糊化温度(約65℃〜70℃)に達して初めて、デンプン分子を甘味成分である「麦芽糖(マルトース)」へと次々に分解し始めます。この酵素が最も精力的に働く活性帯が約65℃〜75℃であり、85℃を超えると酵素タンパク質が熱変性を起こして失活してしまいます。

沸騰した湯に冷たいさつまいもを放り込むと、表面ばかりが急速に80℃〜100℃へ跳ね上がり、酵素が働く間もなく死滅してしまいます。その結果、中心部は煮え切らないか、ただ火が通っただけで甘みの薄いボソボソした食感に仕上がってしまいます。これに対し、たっぷりの水から弱火でゆっくりと温度を上げていくアプローチをとれば、糊化が始まった状態のまま65℃〜75℃の黄金温度帯を15分〜20分以上通過させることが可能になります。さつまいも水から茹でる理由の核心は、まさにこの「酵素反応を限界まで長引かせる時間稼ぎ」にあるのです。

佐々木 一輝

佐々木 一輝

ビジネス戦略アナリスト

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest