最期の選択肢を追う:スイス安楽死の現場と海を渡る日本人の葛藤
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スイスにおいて安楽死が語られる際、まず明確に区別されるべきは「能動的直接安楽死」と「自殺幇助(自死幇助)」の違いだ。医師が患者に直接致死薬を注射する行為はスイス刑法でも禁じられている。一方で、スイス刑法115条は「利己的な動機がない限り、他者の自殺を援助しても処罰されない」と定めている。患者自身が最後の引き金を引く――点滴のバルブを開ける、あるいは薬液を自ら飲み干す――という動作を行う限り、法的な幇助として成立する仕組みだ。
この特異な法環境のもと、1980年代からスイス国内居住者を対象としたエグジット(EXIT)などの団体が活動を開始した。しかし、国外からの絶望的な叫びにいち早く応えたのは、人権弁護士であったルートヴィヒ・ミネリ(Ludwig Minelli)が1998年に設立したディグニタス(DIGNITAS)だった。「尊厳ある生と尊厳ある死」を掲げる同団体の登場により、国境を越えて死の選択を求める人々がスイスを目指す現象が始まった。