緑色のおりものは危険信号?かゆみなしでも放置Ngな原因と受診目安
緑色のおりものは危険信号?かゆみなしでも放置Ngな原因と受診目安についての最新情報をご紹介します。
おりものが緑色に変色する主たる理由は、生殖器内部の組織で急性の炎症反応が起き、大量の好中球(白血球の一種)が病原体に対抗して集結しているためです。好中球が細菌や原虫を貪食して破壊される際、含まれるミエロペルオキシダーゼという酵素の作用によって、分泌物は黄色から黄緑色、さらには濁った緑色の「膿性分泌物」へと変化します。つまり、緑色のおりものは体内で感染防御反応が激しく繰り広げられている動かぬ証拠なのです。
臨床現場において、緑色のおりもの原因として最も警戒される疾患の一つがトリコモナス膣炎です。これは肉眼では見えない単細胞の原虫「膣トリコモナス」が膣内に寄生して起こる感染症で、泡状の黄緑色おりものと強い悪臭(魚が腐ったような生臭さ)、激しいデリケートゾーンの熱感やかゆみを引き起こします。しかし、注目すべきは「感染者全員に激しい症状が出るわけではない」という点です。日本性感染症学会の学術報告によると、女性のトリコモナス感染者のうち約20〜50%は自覚症状が軽微、あるいは一時的に無症状の潜伏状態にあるとされています。
さらに、膣内の正常な乳酸菌(デーデルライン桿菌)が減少し、嫌気性菌などが異常増殖する細菌性膣症や、クラミジア・トラコマチスおよび淋菌が引き起こす子宮頸管炎も、黄緑色の粘液性おりものを分泌させる主要な原因です。「かゆみがないから病気ではない」という思い込みは医学的に完全に誤りであり、むしろ痛覚やそう痒感を伴わないまま、子宮の奥深くへ感染が拡大していく「サイレントな感染」こそが最も警戒すべき病態といえます。