ステンレスに磁石がつくのは偽物?Sus304と430の違いと見分け方

ステンレスに磁石がつくのは偽物?Sus304と430の違いと見分け方について専門的な視点から解説いたします。詳細な分析をチェックしてください。

「SUS304(18-8ステンレス)と刻印されているのに、縁や底の角に磁石を近づけたら反応した」という現象も頻繁に起こります。これは製品の偽装ではなく、金属加工における「加工誘起マルテンサイト変態」という物理現象によるものです。

SUS304などのオーステナイト系ステンレスは、平らな板の熱処理状態(固溶化熱処理)では完全に非磁性です。しかし、深絞り成形やプレス、曲げ加工によって強い応力が加わると、原子配列の一部が歪み、面心立方格子(非磁性)からマルテンサイト組織(磁性)へと構造変化を起こします。

身近な例を挙げると、次のような箇所で磁性が発生します:

  • ステンレスシンクの角や底面:一枚のステンレス板を深く引き伸ばして成形するため、四隅のコーナー部分に磁石がくっつく。
  • ステンレスボウルやタンブラーのフチ:プレス機で強く巻き込んだり絞ったりしたフチ周りだけが磁石に反応する。
  • スプーンやフォークの首部分:曲げ加工とプレスを受けた部分に弱い磁性が生じる。

加工部をもう一度1000℃以上に加熱して急冷(溶体化処理)すれば再び非磁性に戻りますが、家庭用品や厨房設備でそこまでの再熱処理を行うケースは稀です。したがって、「全体はつかないが、曲げた部分や角だけ磁石がつくSUS304」は、高い技術でしっかりとプレス加工された本物の証でもあります。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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