愛犬のイボは悪性?皮膚がん・肥満細胞腫の見分け方と受診目安
愛犬のイボは悪性?皮膚がん・肥満細胞腫の見分け方と受診目安とは一体何なのか? 専門的な分析を簡潔に解説します。
獣医腫瘍科の現場で最も警戒されている皮膚腫瘍が、犬の皮膚悪性腫瘍の約2割を占める肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)です。太っている犬にできる腫瘍という意味ではなく、アレルギー反応に関与する「肥満細胞」が腫瘍化する病態を指します。
肥満細胞腫が恐れられる最大の理由は、獣医学界で「グレート・マスカレード(偉大なる詐欺師)」と称されるほど、あらゆる皮膚疾患の外観を模倣する点にあります。ある時は無毛の赤いポッチ、ある時は柔らかい脂肪の塊、またある時は虫刺されのような蕁麻疹状の膨らみとして現れます。
さらに、肥満細胞腫には特有の「ダリエ徴候」と呼ばれる現象が見られます。腫瘍に含まれるヒスタミンなどの生理活性物質が放出されることで、しこりを触った直後に赤く腫れ上がり、数日経つと何事もなかったかのように小さく縮む現象です。この一時的な縮小を飼い主が「治った」と誤認し、受診が遅れてリンパ節や内臓へ転移してしまう悲劇が後を絶ちません。
一方、悪性黒色腫(メラノーマ)は、色素細胞(メラノサイト)が悪性化する極めてアグレッシブな腫瘍です。口唇や口腔内、足先(爪床部)に好発しますが、胴体や頭部の皮膚にも黒いイボ状結節として現れます。初期段階から周囲組織へ浸潤し、血流に乗って肺などへ早期転移する傾向が強いため、黒いイボが出血したり急拡大したりした場合は一刻を争う対応が求められます。