東野圭吾『手紙』あらすじと結末ネタバレ考察!最後の慰問と涙の真相
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本作における最大のターニングポイントであり、読者に最も重い問いを投げかけるのが、直貴が勤務する家電量販店の平野社長による言葉です。直貴が兄の素性を理由に左遷された際、平野社長は冷淡な言葉ではなく、慈悲を含んだ冷徹な現実を突きつけます。
「差別はね、当然なんだよ。人間は一人で生きているんじゃない。人は皆、どこかで繋がっている。君のお兄さんは、その繋がりを断ち切ってしまったんだ」
平野社長は、社会が犯罪者を排除し、その家族をも警戒するのは「自分たちの身を守るための防衛本能」であり、差別する側を単に悪者として責めることはできないと説きます。罪を犯すということは、刑務所で刑期を務めれば終わりではなく、「残された家族が社会から受ける差別も含めて背負わなければならない罪の重さ」なのだという指摘です。
この言葉は、直貴にとって残酷な宣告であると同時に、初めて「世間の差別」の正体をロジカルに理解させる契機となりました。加害者家族が受ける不条理を単なる被害者感情で終わらせず、社会システムの一部として描き切った点に、東野圭吾の冷徹かつ深い人間観察眼が光っています。