自らの髪を喰らう奇病の罠。胃切開に至るラプンツェル症候群の真実
自らの髪を喰らう奇病の罠。胃切開に至るラプンツェル症候群の真実の注目ポイントを丁寧に掘り下げてご紹介します。
人はなぜ、本来食べ物ではない自らの髪の毛を口に運んでしまうのか。その背景には、強い強迫的行動を伴う精神疾患が潜んでいる。
始まりの多くは、無意識または発作的に自分の髪を引き抜いてしまう「抜毛症(trichotillomania)」だ。学業や家庭内環境、あるいは人間関係における激しいストレスや不安を和らげようとする代償行為としてスタートする。そして、抜いた髪を口に入れて噛んだり飲み込んだりする行動へとエスカレートする状態を「食毛症(trichophagia)」と呼ぶ。
抜毛症患者の約2割前後が食毛症を併発すると言われており、その一部が最終的に胃の中で巨大な塊を形成する。髪の毛に含まれるケラチンタンパク質は人間の胃酸では分解できない。そのため、1本1本は小さな毛髪であっても、胃の波状運動によって圧縮され、粘液や食べかすと混ざり合いながら固く巨大な固形物へと成長していくのだ。