もののけ姫の鹿の名前は?ヤックルとシシ神の違いやモデル動物の真相
もののけ姫の鹿の名前は?ヤックルとシシ神の違いやモデル動物の真相について徹底解説いたします。詳細な分析をお届けします。
劇中で初登場した際、観客に強烈な違和感と不気味さを与えるのが、シシ神の「人面のような顔つき」です。なぜ宮崎駿監督は、神聖な森の主を美しい鹿の姿そのままにせず、わざわざ不気味な人面として造形したのでしょうか。
制作ドキュメンタリーや関係者の証言によると、シシ神の顔は「人間でも動物でもない、あらゆる生命の根源」を表現するために、あえて視線がどこを向いているか分からない能面のような表情に設計されました。怒りも慈悲も浮かべず、ただ淡々と生を与え、淡々と命を奪う無情さ。自然現象そのものに「人間の善悪の倫理」は通用しないという、冷徹な真理を具現化しているのです。
また、美術スタッフが何度も現地ロケハンを敢行した鹿児島県・屋久島の白谷雲水峡には、本土のシカよりも一回り小柄で特有の進化を遂げた「ヤクシカ」が生息しています。苔むす原生林の霧の中から、静かに人間を見つめ返すヤクシカの濡れた黒い瞳。その幽玄な体験が、シシ神のたたずまいに直結しています。
さらに重要な裏設定として、夜の姿である「デイダラボッチ」との関係が挙げられます。デイダラボッチは日本各地に伝わる国引き神話の巨人「ダイダラボッチ」がモチーフですが、本作では「星明かりを浴びて歩き回る夜の森そのもの」として描写されます。昼の凝縮された生命(シシ神)と、夜の拡張された宇宙的生命(デイダラボッチ)という表裏一体のサイクルこそが、森の呼吸そのものだったのです。