バイオリンの数え方は1本?1台?「挺」の由来と演奏家のマナー
バイオリンの数え方は1本?1台?「挺」の由来と演奏家のマナーについて分かりやすく解説いたします。専門家の見解をご覧ください。
日本語におけるモノの数え方、すなわち助数詞の世界は想像以上に奥深い。バイオリンに対して最もフォーマルとされる助数詞は「挺(ちょう)」だ。なぜ、この漢字があてられるのか。理由は道具の形状と歴史的な使用法に隠されている。
「挺」という字は本来、手で持って扱う細長い道具や、前にまっすぐ突き出た形状のものに対して用いられてきた。歴史を紐解けば、弓、槍、あるいは駕籠(かご)や人力車、鉄砲などが「挺」で数えられてきた経緯がある。手に取って肩に当て、弓を滑らせて音を響かせるバイオリンもまた、この範疇に自然と組み込まれたわけだ。
一方で、現代の日常会話では「1本」が広く浸透している。これは細長い棒状の形に着目した直感的な表現だ。また、精密な機構を備えた音響機器としての側面に注目し、「1台」と呼ぶケースも少なくない。これらが一概に間違いというわけではない。だが、オフィシャルな文章や伝統的な文脈では「挺」を使うのが、歴史に対する何よりの敬意となる。