ポトマック川に消えたエアフロリダ90便|着氷の悲劇と川底の英雄
ポトマック川に消えたエアフロリダ90便|着氷の悲劇と川底の英雄の要点を詳しく解説してご紹介します。
国家運輸安全委員会(NTSB)の綿密な調査によって、エアフロリダ90便墜落事故の原因は単一の機体故障ではなく、重なった過失の連鎖であることが判明しました。
第一の過失は、エアフロリダの除氷作業ミスと地上での不適切な取り扱いです。空港の地上員による除氷液の混合比率が規定より薄く希釈されていたことに加え、駐機場から自力でバックしようとパイロットがエンジンの逆噴射(リバース・スラスト)を使用しました。この行為によって吹き上がった湿った雪と氷がエンジンの吸気口に巻き込まれ、高温の排気熱で溶けた雪が再び凍結する事態を招いたのです。さらに、前の航空機のジェット排気を利用して主翼の雪を溶かそうと異常接近したため、解けた雪が主翼前縁で再氷結し、空気力学的な揚力を著しく低下させました。
第二の決定的な原因が、パイロットによるエンジン防氷装置(Anti-Ice)の入れ忘れです。氷点下の気象条件下であるにもかかわらず防氷装置がオフになっていたため、エンジン圧力比(EPR)を計測するセンサーの吸気プローブが氷で塞がれました。その結果、コックピットの計器には「十分な推力が出ている」という偽の数値が表示され、実際には離陸に全く足りない低推力のまま機体が滑走を始めてしまったのです。これが典型的なボーイング737の着氷事故として航空界に深い教訓を残すことになりました。