昔のマウスはなぜボール入り?木製原型からたどる操作の革命史
昔のマウスはなぜボール入り?木製原型からたどる操作の革命史の疑問点について、専門知識を基に徹底解説します。
当時のマウス底面に収められていたゴム被覆の金属球体は、決して単なる重りではない。机の上でマウスを移動させると、床面との摩擦によってこのボールが前後左右あらゆる方向へ回転する。筐体内部には、直角に配置された2本の小さなローラーが密着していた。1本がX軸(左右)の動きを、もう1本がY軸(上下)の動きを検知する役割を果たす。
ローラーの端部には、細かなスリット(穴)が無数に開いたスリットディスクを取り付けていた。このディスクを赤外線LEDと光センサーで挟み込み、回転に伴って光が遮断・透過される回数をパルス信号としてカウントする。移動距離と速度を物理的な回転運動から光学的なデジタル信号へと置換する見事なハイブリッド構造だった。ボールに埃が付着するとローラーへの伝達が滑り、画面上のポインタがフリーズする欠点こそあったが、半導体センサーが高価だった時代において、極めて安価かつ高精度に位置情報を拾い出す合理的な最適解だったのだ。