「うんこ」はなぜスラングになる?日本語と英語の意外な由来と2026年の使われ方

「うんこ」はなぜスラングになる?日本語と英語の意外な由来と2026年の使われ方とはどのようなものなのか? 背景や要点を整理してお届けします。

言葉がスラングとして定着する条件は、おおむね三つある。第一に「タブーであること」、第二に「短くて発音しやすいこと」、第三に「多義的に使えること」だ。「うんこ」はこの三条件をすべて満たす。

タブー性について。排泄物はどの文化でも公の場で話題にしにくい。だからこそ、それを口にすることは「親しさの証明」や「権威への反抗」として機能する。幼児が「うんこ」と叫んで笑いを取るのは、タブーを破る快楽を無邪気に味わっているからだ。大人がネットで「うんこ」と書くとき、そこには「俺はこの程度の言葉を平気で使える場にいる」という宣言が含まれる。

第二の条件、音声的な使いやすさも重要だ。「うんこ」は三拍で、撥音「ん」を挟む。日本語の幼児語は「マンマ」「ブーブー」のように反復音や撥音を好む傾向があり、「うんこ」はその典型に位置する。一方の「shit」は一音節で、破裂音と摩擦音の組み合わせが強烈な印象を与える。どちらも「短くて強い」という点で共通する。

第三の多義性。日本語では「うんこ」は名詞として排泄物を指すほか、「うんこみたいな作品」のように形容動詞的に使われ、「うんこする」と動詞化もされる。英語の「shit」はさらに広く、「This is shit(これはひどい)」「No shit(当たり前だろ)」「Holy shit(嘘だろ)」「shit happens(ろくなことがない)」など、驚き・強調・否定・自嘲の機能を担う。報道各社の英語圏メディア分析によれば、映画やドラマにおける「shit」の使用回数は過去20年で増加傾向にあり、とくにケーブルテレビや配信作品で顕著だという。

ここで重要なのは、「うんこ」と「shit」は似て見えて、スラングとしての機能の重心が違うという点だ。日本語の「うんこ」はどちらかといえば「名詞としての実体」を保ちつつ、幼児性や親しみをまとう。英語の「shit」はより抽象的で、感情の強度を調整する副詞的な役割まで担う。この違いは、日本語が排泄物を「モノ」として捉えがちなのに対し、英語が排泄行為を「出来事」として捉える傾向の反映かもしれない。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest