カイロウドウケツの生態と偕老同穴の語源|一生出られぬエビと夫婦の絆
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カイロウドウケツ(学名:Euplectella aspergillum、英名:Venus' Flower Basket)は、刺胞動物や軟体動物ではなく、原生的な多細胞動物である海綿動物門六放海綿綱(ろっぽうかいめんこう)に属する深海生物です。相模湾や駿河湾をはじめとする日本近海から西太平洋の水深200〜1,000メートル前後の海底泥底に固着して生息しています。
最大のガラス海綿の特徴は、体長約20〜30cmにおよぶ円筒状の骨格が、ほぼ100%の生体シリカ(二酸化ケイ素=ガラス質)の骨片で構成されている点にあります。海底から海水を吸い込み、体内の微細な襟細胞で有機物粒子やプランクトンを濾過して摂取した後、円筒上部の開口部(篩板)から排水する極めて合理的なポンプ構造を備えています。
このガラス骨格は、単に美しいだけでなく力学的にも極めて洗練されています。細いガラス繊維が格子状に幾重にも直交し、斜めに交差する筋交い構造(トラス構造)を形成しているため、深海の凄まじい水圧に耐える驚異的な圧縮強度と柔軟性を両立しています。米国ハーバード大学や国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)などの材料力学研究チームからも、次世代の耐震建築構造や曲げても折れない光ファイバー素材のバイオミメティクス(生物模倣技術)モデルとして熱い視線が注がれています。