医療と愛憎の原点『失楽園』―作家・渡辺淳一が解剖した人間の真実
医療と愛憎の原点『失楽園』―作家・渡辺淳一が解剖した人間の真実にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。
角川書店から刊行され、爆発的な大ヒットを記録した『失楽園』。この作品の着想は、単なる不倫劇を描くことにはなかった。著者が長年温めていたのは、「究極の愛は死によってのみ完成するのか」という重厚なテーマだったという。
執筆にあたり、実在の阿部定事件や数々の心中劇の心理構造が詳細に分析された。取材ノートには、男女が社会的立場や家族を捨て去り、互いの肉体と精神だけを貪り合うプロセスの精密なスケッチが残されていた。単なる官能描写にとどまらず、終着点としての「死」へ向かう男女の心理的軌跡が、驚くべき緻密さで組み上げられていったのだ。