ユッケ食中毒事件はなぜ起きたのか?焼肉えびすの惨劇と生肉規制の現在
ユッケ食中毒事件はなぜ起きたのか?焼肉えびすの惨劇と生肉規制の現在の背景について、分かりやすい解説を詳しくお届けします。
被害が拡大する中、運営会社である株式会社フーズ・フォーラスの代表取締役・勘坂康弘社長が開いた記者会見は、世論に強烈な不信感を植え付けました。当初の会見で勘坂氏は「国の基準があいまいだった」「生食用として販売していない卸業者の責任」と語気を強めて逆ギレとも取れる主張を展開。その直後に突如として床に両手をつき土下座をするという異様な光景は、連日ワイドショーで大きく報道されました。
社会的信用を完全に失ったフーズ・フォーラス社は、全店舗の営業停止処分を受けた後に破産手続きを開始。被害者への補償問題が大きくクローズアップされることになります。
警察当局は、業務上過失致死傷の容疑で勘坂元社長および食肉卸売業者の役員らを書類送検し、刑事責任の追及を進めました。しかし、2016年に富山地方検察庁は全員を不起訴処分(嫌疑不十分)とすることを決定しました。当時の国の衛生基準が法的強制力のない「衛生基準目標(行政指導)」にとどまっており、「加熱用肉を提供すれば食中毒が発生して死者が出る」という具体的な結果を予見できたと法的に証明することが困難であると判断されたためです。
遺族側は検察審査会へ申し立てを行いましたが、最終的に不起訴相当の議決となり、刑事罰による立件は実現しませんでした。民事上は破産財団からの配当や損害賠償請求が行われたものの、被害者の被った心身の傷に対して十分な補償がなされたとは言い難い幕引きとなっています。勘坂康弘氏は会社清算とともに飲食業界の表舞台から完全に姿を消しました。