オリーブオイルが冬に凍る理由は?白く固まる真相と正しい戻し方
オリーブオイルが冬に凍る理由は?白く固まる真相と正しい戻し方とはどのようなものなのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。
白く固まってしまったオリーブオイルを発見した際、最も気になるのが「栄養や風味は劣化していないのか」という点です。製油メーカー各社の実験データおよびオリーブオイル官能評価の知見によると、1〜2回程度低温で固まり、それを穏やかに戻しただけであれば、品質・風味・栄養価への悪影響はほぼ皆無であることが実証されています。
オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は酸化安定性が極めて高く、凍結したからといってトランス脂肪酸が生成されたり、ポリフェノールが消失したりすることはありません。むしろ、低温下では酸化反応そのものの進行が大幅に鈍化するため、理論上は油脂の劣化速度が抑えられます。ただし、問題となるのは「解凍と再凝固の無限ループ」です。何度も凍結と溶解を繰り返すと、ボトル内部で温度差による結露(水分)が発生し、その水分が油の加水分解を引き起こして遊離脂肪酸を増加させ、酸度の上昇や異臭の原因となります。
「固まる=本物のエクストラバージン」という俗説の真偽
インターネット上や一部の食通の間で、「冷蔵庫に入れて固まるのが本物のエクストラバージンオリーブオイルであり、固まらないものは偽物(混ぜ物)」という言説がまことしやかに語られることがあります。しかし、オリーブオイル鑑定士や農芸化学の研究者は、この判別法を「科学的根拠に乏しい誤った都市伝説」と断じています。
オリーブオイルが固まる温度は、原料となるオリーブの品種、収穫時期、栽培地域の気候、果実の成熟度によって大きく変動します。例えば、寒冷地で栽培される品種や早摘み(グリーンオリーブ)の果実から搾られたオイルはオレイン酸比率が高く10℃前後で固まりやすい一方、温暖な地域で完熟期に収穫されたオイルはリノール酸などの多価不飽和脂肪酸比率がやや高くなり、5℃以下にならないと固まらないケースも珍しくありません。安価な精製油をブレンドした粗悪品であっても、パーム油等の飽和脂肪酸比率が高ければ即座に白濁します。つまり、「固まりやすさ」だけで本物と偽物をスクリーニングすることは不可能なのです。