小出監督のマラソン指導法と練習メニュー|金メダリスト輩出の育成理論
小出監督のマラソン指導法と練習メニュー|金メダリスト輩出の育成理論を詳しくリサーチ! 読者が気になる トピックの裏側を凝縮して配信します。
小出監督が選手に課した練習メニューには、明確な生理学的理由とレース展開への周到な計算がありました。その代名詞とも言えるのが、米コロラド州ボルダーなどで行われた高地トレーニングと、徹底したビルドアップ走です。
女子マラソンの常識を覆した高橋尚子選手の練習では、標高2000メートルを超える高地で、起伏の激しい山道を1日に朝・午前・午後の3部練習で合計50キロ以上走り込むことも珍しくありませんでした。過酷な環境で心肺機能を極限まで高めると同時に、不整地を走ることで体幹と細かいインナーマッスルを鍛え上げました。
小出流練習法が後半重視である最大の理由は、「レースは30キロ過ぎからが本当の勝負」という明確な哲学に基づいているためです。練習の序盤は余裕を持ったペースで入り、終盤に向けて段階的にペースを上げ、ラスト数キロをレースペース以上のトップスピードで追い込む。このメニューを反復することで、疲弊した状態からでもスパートできる強靭な身体とメンタルを同時に叩き込みました。
有森裕子選手が猛暑のバルセロナで見せた驚異のデッドヒートや、高橋尚子選手がシドニー五輪のスパートで見せたサングラス投げからの独走劇は、この妥協なき練習メニューの裏付けがあってこそ実現した歴史的瞬間でした。