ラッセンのイルカ絵画はなぜ流行?展示販売の裏と現在の買取価値
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1956年に米カリフォルニア州で生まれ、10歳のときにハワイ・マウイ島へ移住したクリスチャン・ラッセンの経歴は、プロサーファーとしての顔を持つ異色のアーティストから始まります。独学で絵画技法を身につけたラッセンは、サーフィンを通じて体感した波のうねりや光の屈折、そして海中世界を極彩色のアクリル絵の具でカンバスに落とし込みました。
日本におけるラッセンがバブル期前後に流行した理由には、いくつかの強力な時代背景が重なっています。1つ目は、1980年代末から1990年代初頭にかけて起きた「マリンリゾート・サーフィンブーム」と「ニューエイジ・環境保護ブーム」です。当時、都市生活に疲れたサラリーマンや若者の間で「癒やし(ヒーリング)」のシンボルとしてイルカやクジラがアイコン化され、ラッセンが描く幻想的なマリンアートのイルカやクジラはまさに時代の気分と直結していました。
2つ目は、日本の住宅事情と視覚的わかりやすさです。難解な抽象画や敷居の高い古典絵画と異なり、ラッセンの絵は「誰が見ても直感的に美しく、部屋に飾ればハワイのリゾート感を味わえる」という明快なポピュラリティを持っていました。景気の良さに後押しされ、美術品を所有すること自体がステータスシンボルとなった時代に、彼の絵画は猛烈な勢いで受け入れられていったのです。