伝統を背負う若き女方・中村児太郎の美学と独占公演の裏側に迫る
伝統を背負う若き女方・中村児太郎の美学と独占公演の裏側に迫るにまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。
彼の演技力を語る上で外せないのが、父である中村福助の存在だ。当代屈指の女方として歌舞伎界を支えてきた父の背中は、彼にとって偉大な目標であり、超えるべき壁でもあった。病魔と闘いながら舞台復帰を果たした父の執念と芸への愛を間近で体感したことが、表現者としての深みを一気に増させた。
「父の教えは、型を超えたところにある役の心を演じること」と語る通り、彼の演じるヒロインたちはどれも生々しい感情の体温を宿している。悲恋に狂う姫、忍耐強く夫を支える町娘、あるいはおどろおどろしい怨霊まで、幅広い役柄を見事に演じ分ける圧巻の表現力は、師であり父でもある福助から受け継いだ魂の結実と言えるだろう。