猿回しは本当にかわいそう?動物虐待疑惑と伝統芸能の裏側を追う
猿回しは本当にかわいそう?動物虐待疑惑と伝統芸能の裏側を追うとはどのようなものなのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。
猿回しで活躍するサルたちに関して、ファンや動物福祉関係者が最も気にかけるのが「引退後の生活」です。野生のニホンザルの寿命が約15〜20年であるのに対し、適切な医療と栄養管理を受ける飼育下のサルは25年から30年近く生きることも珍しくありません。
ステージでアクロバティックな芸を披露できるのは、体力的なピークである十代前半までです。つまり、引退後に待っている10年以上の長い「老後」をどのように過ごさせるかが、事業者の社会的責任として厳しく問われます。
過去には引退後の処遇が不透明であったり、劣悪な環境で放置されたりするケースが問題視されたこともありました。しかし現在では、日光さる軍団をはじめとする主要団体において、高齢になったサルが群れでのんびりと暮らせる「老猿専用のケアハウス(老猿ホーム)」が整備されています。引退後も専任スタッフによる給餌や健康診断が続けられ、穏やかな余生を送る環境づくりが進められています。しかし、こうした終生飼養には莫大な維持費と医療費がかかるため、中小規模の個人興行主におけるケア体制の維持には依然として課題が残されています。