等々力陸上競技場はなぜ球技専用に?トラック撤去の真相と完成予定を徹底解説!
等々力陸上競技場はなぜ球技専用に?トラック撤去の真相と完成予定を徹底解説!について見逃せない 理由を分かりやすい構成で解説いたします。
改修方針が公表された際、SNSや地元コミュニティでは「なぜ伝統ある陸上トラックを取り壊すのか」「陸上選手が締め出されるのではないか」といった疑問や批判が噴出しました。日本陸上競技界のレジェンドたちが数々の好記録を打ち立ててきた聖地だけに、その反響の大きさは当然とも言えます。しかし、川崎市の都市計画部および検討委員会の議事録を精査すると、そこには感情論だけでは片付けられない複合的な構造問題が存在していました。
トラック撤去に踏み切った決定打は、大きく分けて3点あります。
第一に、「陸上競技場としての公認規格維持の限界」です。日本陸連の第1種公認陸上競技場として大規模な国際大会や日本選手権を開催し続けるためには、隣接地に常設の400mトラックを有する「第3種公認以上の補助競技場」が不可欠となります。しかし、等々力緑地の敷地配置と法令上の建ぺい率・緑地面積率の制約から、現在のメインスタジアムの真横に正規の補助競技場を拡張整備することは極めて困難な状況にありました。
第二に、「プロスポーツ観戦における臨場感と収容限界のギャップ」です。川崎フロンターレはJ1リーグで複数回の優勝を飾り、毎試合のようにチケットが完売する人気クラブへと成長しました。しかし、陸上トラックが存在することでスタンド最前列からピッチまでの距離が遠く、「最前列でも選手の声やボールの衝撃音が届きにくい」「ゴール裏の傾斜が緩く、反対サイドの攻防が見づらい」という構造的課題を長年抱えていました。専用化によってピッチとスタンドの最短距離を数メートルにまで縮め、欧州スタジアムのような圧倒的熱狂を生み出すことが不可欠と判断されたのです。
そして第三の、かつ最も重要な理由が「機能分離による共存の決断」です。後述するように、川崎市は陸上機能を切り捨てるのではなく、等々力緑地内の別エリア(現在の補助競技場周辺)に日本陸連公認規格を満たす独立した新・陸上競技場をゼロから新設する方針を固めました。「球技」と「陸上」の双方が妥協しながら1つのスタジアムを取り合う共用状態に終止符を打ち、両者に最適な専用空間を同時に創出するという逆転の発想が、トラック撤去の真の理由です。