懲役刑もあった韓国の姦通罪はなぜ廃止?違憲判決の真相と慰謝料の実態
懲役刑もあった韓国の姦通罪はなぜ廃止?違憲判決の真相と慰謝料の実態の疑問点について、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。
韓国で姦通罪が姿を消した決定打となったのは、2015年2月26日に下された憲法裁判所の違憲判決です。9名の裁判官のうち、違憲基準(6名以上)を上回る7対2の圧倒的多数で「刑法第241条は国民の権利を過度に侵害している」との司法判断が確定しました。1953年の刑法制定から実に62年間、国家が国民の性生活を取り締まってきた歴史が、この瞬間に幕を下ろしました。
憲法裁判所が示した違憲判断の核心は、主に次の3点に集約されます。
- 性の自己決定権およびプライバシーの自由の侵害:個人の極めて私的な領域である性生活に対して国家権力が刑罰をもって介入することは、憲法が保障する基本的人権を根本から損なうという判断。
- 処罰による婚姻維持効果の喪失:姦通罪で配偶者を告訴するには「離婚訴訟の提起または離婚成立」が必須条件(親告罪)であったため、法が家庭関係を修復するどころか、むしろ破綻を加速させる引き金になっていた実態。
- 世界的な脱犯罪化の潮流と国民意識の変容:西欧諸国や日本(1947年に廃止)をはじめ、道徳的過ちを刑罰で裁く制度は国際的に撤廃が進んでおり、韓国国内でも「個人の倫理問題に国家が介入すべきではない」とする法意識が定着したこと。
憲法裁判所は過去に4度(1990年、1993年、2001年、2008年)にわたって合憲判断を維持していました。しかし、社会構造の近代化と個人の自立を重んじる意識の高まりを前に、司法も時代の変化を追認せざるを得なくなったのが廃止の根本理由です。