大人のてんかんはストレスが原因?発症の医学的真相と誘発リスクを解明
大人のてんかんはストレスが原因?発症の医学的真相と誘発リスクを解明の真相や最新動向に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。
小児期のてんかんが遺伝的素因や脳の発達異常に起因することが多いのに対し、大人になってから初めて発症するてんかんの背景には、明確な脳の器質的ダメージが存在するケースが大半を占めます。これを医学用語で「症候性てんかん(または構造的てんかん)」と呼びます。
成人発症てんかんの主な原因として、国内の臨床現場で最も頻繁に特定されるのが脳血管障害です。日本脳卒中学会および日本てんかん学会が公表する追跡調査データによると、成人後に初発するてんかんの約30〜50%が脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳卒中後遺症に起因しています。発症直後の急性期に起きる発作だけでなく、脳卒中から数カ月〜数年が経過し、脳組織が瘢痕化(傷跡が線維化)した後に遅発性にてんかんを発症する例が後を絶ちません。自覚症状がほとんどなかった「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)」がベースに隠れていたケースも少なくありません。
2026年最新てんかん診療ガイドラインの改訂動向においても、超高齢社会の進展に伴い、脳血管障害に次いでアルツハイマー型認知症などの神経変性疾患に伴う成人てんかんの早期発見が重点課題として位置づけられています。そのほか、過去の交通事故や転倒による頭部外傷(脳挫傷後)、良性・悪性の脳腫瘍、中枢神経系の感染症(脳炎・髄膜炎)の後遺症などが、成人発症の決定的な要因となります。
原因が精密検査でも特定できない「特発性(潜因性)てんかん」も成人例の2〜3割程度に存在しますが、大人が突然倒れた場合、背景には脳の血管や組織の器質的変性が潜んでいる可能性を最優先で疑わなければなりません。