【深層追跡】暗部を商品化した社会の代償——凄惨な猟奇殺人と日本メディアが陥った「タブーの消費」を再考する

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社会復帰を果たした佐川を待ち受けていたのは、猛烈な批判と、それ以上に過熱した一部メディアによる歪んだ手厚い「大歓迎」だった。1980年代後半から1990年代にかけ、日本の週刊誌、TVトーク番組、さらにはサブカルチャー誌がこぞって彼をアプローチの対象とした。事件の顛末を手記として綴った著書『霧の中』がベストセラーになると、彼は単なる元容疑者を超え、奇妙な文化的アイコンとして扱われ始めた。

小説家としての執筆活動をはじめ、映画出演、AVの監督・出演、さらにはグルメガイドのコラムニストに至るまで、彼をメディア商品として利用する動きは長年にわたって続いた。惨劇の当事者がその知名度を利用して経済的利益を得る構造に対し、国内外から猛烈な倫理的批判が噴出したが、昭和から平成初期の過激化するメディア市場はその声を打ち消し、消費を止めることはなかった。

林 結菜

林 結菜

ライフスタイル編集者

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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