井上陽水『氷の世界』解読:日本初ミリオンセラー誕生の極秘裏話
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この名盤の誕生には、当時の邦楽制作の常識を遥かに越えた極秘プロジェクトが存在した。制作陣が選んだ舞台は、音楽の聖地ロンドンである。井上陽水は単身英国へ渡り、現地のトップクラスのスタジオミュージシャンやエンジニアと共にレコーディングに臨んだ。ファンクやグルーヴの概念がまだ珍しかった当時の日本に、ロンドンの本場のリズムセクションと研ぎ澄まされたサウンドプロダクションを持ち込んだのだ。
さらに特筆すべきは、同時代を駆け抜けた若き日の忌野清志郎との深遠なクリエイティビティの交差である。二人の間に芽生えた強烈な友情とライバル意識は、互いの音楽性を先鋭化させた。アルバム収録曲『待ち人の居ない駅』の共作をはじめ、言葉の切っ先を極限まで研ぎ澄ます表現技法は、互いに強い刺激を与え合った結果生まれたものだ。ロンドンの最先端サウンドと、異能の天才たちが火花を散らした熱量が、この音源には濃縮されている。