和泉式部日記の現代語訳とあらすじ総解剖!敦道親王との愛と結末の真相
和泉式部日記の現代語訳とあらすじ総解剖!敦道親王との愛と結末の真相に関する主要なデータを丁寧に解説いたします。
冒頭部分は、古典文学の中でも屈指の心理描写として試験や教材で最も頻繁に取り上げられる名場面です。情景が脳裏に浮かぶような平易な言葉で現代語訳を紐解きます。
【原文冒頭】
「夢の通ひ路だにとめつるころぞ、くやしかりける。世の常ならぬ契りにて、あはれなりし人の、春の初めにもなりにしかば、いとど思ひ出でられ給ふに、つれづれも慰めがたう…」
【冒頭のわかりやすい現代語訳】
(亡き為尊親王を夢に見ることさえなくなってしまった最近のこの時期が、ひどく悔やまれてならない。世間並みではない深い宿縁で結ばれ、心を通わせたあの方が、春の初めを迎えるとますます思い出されてならず、やりきれない寂しさを紛らわすこともできずにいた…)
この哀愁に満ちた静寂を破るのが、弟・敦道親王からの小舎人童を介したアプローチです。庭の橘の花を手渡された女(和泉式部)は、古今和歌集の「五月待つ 花橘の 香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする」という有名な本歌を踏まえて次の歌を詠みます。
和泉式部の歌:
「薫る香に よそふるよりは ほととぎす 聞かばや同じ 声やしたると」
(橘の薫る香りに亡き親王のお袖の香を重ねて思い出すよりは、あの山時鳥よ、あなたが来て鳴くその声を聞きたいものです。亡きあの方と同じ声で鳴くのかどうかを確かめたいのです)
これに対し、敦道親王はすかさず返歌を返します。
敦道親王の返歌:
「同じ枝に 鳴きつつをりし ほととぎす 声は変らぬ 羽色のみして」
(同じ兄弟という枝にとまって鳴いていた時鳥ですよ。その声は亡き兄と少しも変わっていません。ただ喪服を身にまとっている羽の色だけが違っているのですよ)
「兄と同じ声(私を愛する声)を聞かせてくれるのか」と問いかける和泉式部に対し、親王は「姿形こそ喪服で異なるが、あなたを愛する声は兄と全く同じだ」と大胆に踏み込んで見せました。知性と色気が交錯する、平安貴族特有のハイレベルな言葉の掛け合いです。