血圧上昇の鍵を握るレニン・アンジオテンシン系の仕組みと薬理の真実

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本来、生物の進化史においてRAASは「過酷な飢餓や脱水、肉食獣との戦闘による外傷出血」から個体を守るための防衛システムでした。太古の地球環境において塩分(ナトリウム)は極めて貴重であり、一度摂取した塩と水は何が何でも体内に閉じ込める必要があったのです。

ところが、レニン・アンジオテンシン系亢進の原因と真相を巡る近年の病態生理学の知見は、人類の生活環境の激変がもたらした「進化のミスマッチ」を浮き彫りにしています。自然科学研究機構 生理学研究所の研究発表をはじめとする生理学的アプローチによれば、RAASは単に全身血圧を保つだけでなく、神経細胞の浸透圧バランスや細胞容積の恒常性維持にも密接に関与していることが分かっています。この緻密な生体維持機構が、現代社会特有の以下の3大要因によって慢性的なオーバードライブ状態に陥っています。

第1に、食塩の過剰摂取と肥満に伴うインスリン抵抗性です。高インスリン血症は腎尿細管でのナトリウム再吸収を直接促すとともに、脂肪組織自体が「局所アンジオテンシノーゲン」を過剰産生し、全身の血中動態とは独立してRAASを局所暴走させます。

第2に、慢性的な心理的ストレスによる交感神経の過剰興奮です。過度な緊張状態が続くと、腎交感神経からβ1受容体を介してレニン分泌が強制的に指令され続けます。

第3に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)や動脈硬化による腎虚血です。夜間の低酸素状態や細小動脈の硬化により、腎臓の実質血流が低下すると、傍糸球体装置は「全身がショック状態にある」と誤認し、レニンを放出し続けて悪循環を形成します。

山崎 陸

山崎 陸

ガジェット&アプライアンスライター

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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