中納言参りたまひて現代語訳と解説!扇の骨に隠された機知と試験対策
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古典読解において最も重要なのは、文脈と敬語の主客関係を把握しながら一文ずつ照らし合わせることです。ここでは原文を3つの場面に分け、逐語訳に近い精緻な現代語訳を提示します。
第1場面:伊周の来訪と自慢の「扇の骨」
【原文】
中納言参りたまひて、御扇奉りたまふに、「隆家が、よき扇の骨得て侍るなり。まことにかやうの骨は見知らぬものなり。これに絵描き張らせむとするに、わろき絵師にはえ張るまじければ、隆慶にかきまぜて求むるなり」とのたまふ。
【現代語訳】
中納言(藤原伊周)が(妹の中宮定子の御所へ)参上なさって、扇を献上なさったときに、「(弟の)隆家が、良い扇の骨を手に入れて持っております。本当にこのような骨は今まで見たこともない逸品です。これに絵を描いて張らせようとするのですが、へたくそな絵師にはとても張らせることができそうにないので、あの(名高い絵仏師の)隆慶に描かせてやろうと、あれこれ探し求めているところなのです」とおっしゃる。
第2場面:清少納言の機知と切り返し
【原文】
中宮、「いかやうにかある」と問ひきこえたまへば、「すべて見たこともなきさまの骨なり」と、ことごとしくのたまへば、「それならむは、鶴の脚の長きなり」と聞こゆれば、「これはいと生得の言ひ損ひよ」とて、笑ひたまふ。
【現代語訳】
中宮(定子)が、「(その扇の骨は)どのようなものなのですか」とお尋ね申し上げなさると、(伊周は)「およそ見たこともない風情の骨なのです」と、大げさにおっしゃるので、(私=清少納言は)「それならば(さぞかし)、鶴の脚が長いような骨なのでございましょうね」と申し上げたところ、(伊周は)「これはまったく、生まれつきの口の滑り(失言)だったよ」とおっしゃって、大笑いなさる。
第3場面:サロンの賞賛と結末
【原文】
「いかがは。このことはすべて書き漏らすべうもあらねば、これに書きつくる」とのたまひて、いみじう感じのたまふを、こと人も「いかで、かからむ折のことは、言ひ出でたまふらむ」など、ほめあへり。
【現代語訳】
(伊周は)「どうして(このままにしておけようか、いや、放っておけない)。この出来事は絶対に書き漏らすわけにはいかないので、この(持ってきた)扇に書きつけよう」とおっしゃって、ひどく感銘を受けなさるのを、他の女房たちも「どうして、このような好機に、すっと気の利いた言葉を口になさることができるのだろうか」などと、口々に褒め合っている。