新生児と目が合わないのはなぜ?小児科医が明かす視覚発達の真実と誤解

新生児と目が合わないのはなぜ?小児科医が明かす視覚発達の真実と誤解の真相について、最新情報を詳しくお届けします。

育児コミュニティやSNSで最も多く見られるのが、「新生児と目が合わないのは自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害の兆候ではないか」という切実な書き込みです。しかし、児童精神科医および小児神経専門医の公式見解として、新生児期(生後0〜1ヶ月)の目の動きから発達障害を診断することは絶対に不可能です。

自閉スペクトラム症の特性として「共同注意(指さした方向を一緒に見る)の困難」や「社会的アイコンタクトの弱さ」が挙げられるのは事実ですが、これらは他者との社会的相互交渉が発達する生後1歳から1歳半以降に初めて評価される項目です。中枢神経系が未発達で、視力も0.01程度しかない新生児期において、視線が合わないことを理由に将来の発達障害を懸念することは、医学的見地から完全に根拠を欠いています。

では、なぜこれほどまでに誤った言説が親たちの間で定着してしまったのでしょうか。背景には、産後の極限状態における心理的メカニズムが関係しています。出産直後の母親は、女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の急激な消退によるホルモンバランスの崩れと、睡眠遮断による極度の疲労状態に置かれています。この脆弱なメンタルヘルス下で「完璧な育児をしなければ」「自分の接し方に問題があるのでは」と思い詰めるあまり、ネット検索を繰り返して最悪のシナリオに結びつけてしまう、いわゆる「サイバーコンドリア(ネット情報による健康不安の増幅)」に陥ってしまうのです。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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