同じ牡蠣で当たる人と平気な人の差とは?血液型と体質の真相を解明
同じ牡蠣で当たる人と平気な人の差とは?血液型と体質の真相を解明とは一体何なのか? 背景や要点を丁寧に紐解いて紹介します。
インターネット上の掲示板や雑談で長年語り継がれているのが、「O型の人は牡蠣に当たりやすく、AB型は当たりにくい」という説です。結論から言えば、この言説は「かつて一部のウイルス株において分子生物学的に確認された事実が、文脈を削ぎ落とされて一人歩きしたもの」であり、現代においては過信禁物の迷信に近い状態となっています。
医学研究の知見によると、ノロウイルスがヒトの腸管細胞に感染する際、細胞表面にある「組織血液型抗原(HBGA: Histo-Blood Group Antigen)」と呼ばれる糖鎖を足がかり(受容体)として利用します。赤血球の表面にある血液型抗原と同様の物質が消化管の上皮細胞にも分泌されており、2000年代初頭に世界中で大流行した代表的遺伝子型「GII.4」などの初期株においては、確かにO型抗原(H抗原)を持つ人の細胞に結合しやすい性質が報告されていました。また、遺伝的に唾液や消化管粘膜へ血液型抗原を分泌しない「非分泌型(FUT2遺伝子の変異保持者・日本人で約2割)」の人は、ノロウイルスに感染しにくい体質であることも判明しています。
しかし、近年のウイルス進化は状況を一変させました。現在国内で検出されるノロウイルスには多彩な遺伝子型(GII.17やGII.2など)が存在し、これらはA型、B型、AB型の抗原にも強固に結合することが実証されています。「自分はO型ではないから生牡蠣を食べても平気」「AB型だから食中毒知らず」などという油断は、医学的な観点から見れば極めて無謀な誤解に過ぎません。