2026年の朝、湯気の向こうに見えるもの――炭水化物忌避の終焉と「おむすび」が変えた東京の美意識
2026年の朝、湯気の向こうに見えるもの――炭水化物忌避の終焉と「おむすび」が変えた東京の美意識にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。
おむすびブームを牽引しているのは、機械的な大量生産とは対極にある「手仕事」への飢餓感だ。都内に次々とオープンする専門店では、客の目の前で注文を受けてから握るスタイルが標準になった。
米粒を押し潰さず、手のひらのアーチの中でわずか3〜4回、転がすように形を整える。塩は伊豆大島の海塩、海苔は有明産の初摘み。指先にまとわせる水の量ひとつで、口の中で米がほどける刹那の食感が劇的に変わるという。
「熱いご飯を素手で握っていると、その日の自分の体調や気分の揺らぎまで米に伝わってしまうんです」
そう話すのは、中目黒のカウンターで毎朝米を研ぐ20代の店主だ。無骨ながら研ぎ澄まされたその所作に見惚れる客は多い。職人が米に込めた集中力と、それを受け取る側の無垢な食欲。プラスチック容器越しでは決して味わえない、極めて人間的な交感がそこにはある。