等差数列の和の公式はなぜあの形?ガウスの発想と本質で解く数学B

等差数列の和の公式はなぜあの形?ガウスの発想と本質で解く数学Bの基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。

「1から100までの整数をすべて足し合わせるといくつになるか」――。18世紀後半、ドイツの小学校で教師が生徒たちを静かに自習させようとこの難問を出題した際、わずか数秒で「5050」と即答した少年がいました。彼こそが、のちに大数学者となるカール・フリードリヒ・ガウスです。このガウスの計算方法の仕組みこそが、まさに高校数学で学ぶ等差数列の和の公式の原点となっています。

ガウス少年が頭の中で行ったのは、愚直に $1+2+3+\cdots$ と足していく作業ではありませんでした。彼は数式を「前から順に並べたもの」と「後ろから逆順に並べたもの」をペアにするという、画期的な和の公式の導き方の経緯を直感的に見抜いたのです。

高校数学の枠組みで、この等差数列の和の証明と導出を厳密に可視化してみましょう。初項を $a$、公差を $d$、項数を $n$、末項を $l$ と置きます。求めたい和を $S_n$ とすると、通常の順番で並べた式は次の通りです。

$$S_n = a + (a + d) + (a + 2d) + \cdots + (l - d) + l \quad \cdots ①$$

ここで、ガウスの手法に倣い、右辺の並び順を完全に逆転させた式を真下に書き並べます。

$$S_n = l + (l - d) + (l - 2d) + \cdots + (a + d) + a \quad \cdots ②$$

この①式と②式の両辺をそのまま縦に足し合わせると、驚くべき現象が起こります。

$$2S_n = (a + l) + (a + l) + (a + l) + \cdots + (a + l) + (a + l)$$

公差の $+d$ と $-d$、$+2d$ と $-2d$ が綺麗に打ち消し合い、すべての列の合計が寸分狂わず $(a + l)$、すなわち「初項 + 末項」に統一されます。このペアが項数と同じく全部で $n$ 個並んでいるため、右辺は $n(a + l)$ となります。

$$2S_n = n(a + l)$$

受験生が最も疑問に抱きやすい「等差数列の和はなぜ2で割るのか」という謎の答えがここにあります。同じ数列を2回重複して足したため、左辺が $2S_n$ になっているのです。求めたい真の和 $S_n$ を得るために両辺を2で割ることで、教科書に掲載されている基本形が完成します。

$$S_n = \frac{1}{2}n(a + l)$$

さらに、等差数列の一般項の求め方は $a_n = a + (n - 1)d$ ですから、末項 $l$ とは第 $n$ 項そのものです。すなわち $l = a + (n - 1)d$ を上の公式に代入すると、もう一つの公式が姿を現します。

$$S_n = \frac{1}{2}n \{ a + a + (n - 1)d \} = \frac{1}{2}n \{ 2a + (n - 1)d \}$$

括弧の中に $2a$ が現れる理由は、初項 $a$ と末項の中に含まれる $a$ が合体した結果に過ぎません。この一連のストーリーを一度自手で紙に書いて再現できれば、もはや公式の暗記に怯える必要はなくなります。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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