探し物が見つからない脳の罠とは?プロ直伝の捜索術と発見の法則

探し物が見つからない脳の罠とは?プロ直伝の捜索術と発見の法則とはどんな影響があるのか? 専門的な分析を整理してお届けします。

ネット上の口コミやSNSで「嘘のようにすぐ見つかる」「百発百中でおそろしい」と定期的にバズを生み出すのが、探し物が見つかるおまじない「ハサミさん」です。ハサミを耳の横でチョキチョキと鳴らしながら「ハサミさん、ハサミさん、私が探している〇〇はどこにありますか?」と唱えながら歩き回ると見つかるという伝承であり、類似のものに「にんにく」と唱える方法や「ロケ様」に祈る方法などがあります。

一見するとオカルトじみた民間信仰に思えますが、臨床心理士や認知科学の研究者は、この現象をきわめて合理的な「認知的脱中心化(Cognitive Defusion)」のスイッチとして説明します。

探し物が見つからず焦っている時、脳内は「見つけなければ遅刻する」「怒られる」「どうして自分はこうなんだ」という破局的思考とパニックで満たされています。この状態で「ハサミを耳元で鳴らし、ハサミに話しかける」という極めて奇妙で非日常的な儀式を行うと、脳の注意資源(アテンション)が強制的にその奇矯な動作へと向けられます。これにより、パニックのループが一度断ち切られ、縮こまっていた視野が物理的・心理的にパッと広がるのです。

さらに、「ハサミに問いかけながら探す」という行為は、捜索を「自分の主観的な記憶の確認」から「ハサミと一緒に部屋を客観的に観察する作業」へと変容させます。心理学でいう実況中継法(外在化)と同じ効果が生まれ、さっきまで先入観で見落としていたテーブルの陰や棚の隙間を、フラットな他者の視点で再点検できるようになるわけです。オカルトとして忌避するのではなく、「脳のフリーズを解除するための心理的リブート手順」として理解するのが科学的に正しい認識です。

山下 哲也

山下 哲也

自動車・モビリティライター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest