便潜血で毎年引っかかる原因は?「どうせ痔」の危険と精密検査の真実

便潜血で毎年引っかかる原因は?「どうせ痔」の危険と精密検査の真実について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をご覧ください。

ネット上の質問コミュニティやSNSを観察すると、「私は便潜血に毎年引っかかる体質なんです」「毎年陽性になるけれど、一度も精密検査を受けたことがありません」といった投稿が散見されます。しかし、臨床の最前線に立つ消化器内科医は、この「体質論」を一刀両断します。

医学的に厳密に言えば、血液凝固異常や抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)の内服、あるいは毛細血管拡張症などの基礎疾患がない限り、「病気もないのに自然と腸から血が漏れ出し続ける体質」などは存在しません。毎年陽性反応を示す人は、体質ではなく「毎年出血し続けている物理的な原因」を体内に抱え込んでいるに過ぎないのです。

では、なぜ毎年のように検査に反応してしまうのでしょうか。考えられる便潜血 偽陽性の原因や生理的背景としては、以下のような条件が挙げられます。

  • 女性の月経血・不正出血の混入:採取時に極めて微量の経血が便の表面に付着した場合、免疫法は高感度でヒトヘモグロビンを捉えて陽性化させます。
  • 慢性的な排便障害(重度の便秘):硬く固まった便が直腸を通過する際、肛門管の粘膜を毎回微小に引き裂き、目に見えない出血を生じさせているケース。
  • 持続する内痔核の鬱血:排便時のいきみによって毎回鬱血した痔核から微細な漏出が起きているパターン。
  • 大腸の慢性炎症性疾患・憩室症:大腸の壁にできた窪み(憩室)周辺で微小な血管破綻が反復している状態。

これらの一過性あるいは良性の要因があるとしても、内視鏡で腸の最奥部(盲腸)まで直接観察しない限り、「その出血が本当に痔や経血によるものだけで、奥にポリープが隠れていないか」を判別する術は現代医療にもありません。大手総合病院の消化器内視鏡センター長を務める専門医は、取材に対して次のように警鐘を鳴らしています。

「毎年陽性判定が出ているにもかかわらず、『去年も生きていたから今年も大丈夫』と5年間内視鏡検査を拒み続けた患者さんがいました。いよいよ下血と腹部膨満感を自覚して来院されたときには、S状結腸に全周性の進行がんが鎮座し、肝臓への多発転移を伴うステージIVとなっていました。ご本人は『ただの痔主だと思い込んでいた』と涙を流されましたが、毎年届いていた再検査の通知こそが、早期治療へのラストチャンスだったのです」

林 結菜

林 結菜

ライフスタイル編集者

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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