「飛翔いたら」に込めた覚悟|ブルーバード歌詞の真意と世界的熱狂

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曲の開始と同時に、ブレス(息継ぎ)音を合図としてアカペラ気味に飛び込んでくる「飛翔いたら 戻らないと言って 目指したのは 蒼い 蒼い あの空」。このわずか数小節で、リスナーは一気に楽曲の世界観へ引きずり込まれます。歌詞検索サイト等でも常に上位に挙がる疑問が、「飛翔いたら」の読み方と、そこに込められた真の意味です。文字面通りの「ひしょう」ではなく、作詞者の水野良樹はこれに「はばたいたら」という強い動詞のルビを振りました。

一般的に「青い鳥(ブルーバード)」といえば、メーテルリンクの童話に代表される「身近な日常の中にこそ存在する幸福」のメタファーとして扱われるケースが大半です。しかし、いきものがかりが紡ぎ出した青い鳥は、その安寧を自ら打ち壊します。「戻らないと言って」という懇願にも似た強い意志表示は、ぬくもりのある過去や守られていた居場所との完全な決別を意味しています。一度大空へと翼を広げた以上、二度と安全地帯へは帰還しないという、不可逆的な成長の選択です。

「"悲しみ"はまだ覚えられず "切なさ"は今つかみはじめた」という第1ヴァースのフレーズが示す通り、主人公はまだ未熟で、世界が突きつけてくる本当の痛みの全貌を知りません。しかし、ただ純粋無垢な子どもでいる季節は終わりを告げ、他者との距離感や己の限界という「切なさ」を肌で感じ始めている状態です。『NARUTO -ナルト- 疾風伝』の文脈と重ね合わせるならば、過酷な運命を受け入れて自立へと向かううずまきナルトと、復讐と闇の道へ堕ちていくうちはサスケという、背中合わせの少年たちが交わした「無言の決意」が見事に重なり合います。

目指した空が単なる「青」ではなく、どこか冷徹で深淵な「蒼(あお)」と表記されている点も見逃せません。それは晴天の爽快感ではなく、果てしない孤独や未知の試練を孕んだ大気の色です。傷つくことを恐れて留まるのではなく、傷つくことすら引き受けて未知なる高みへ飛び立つという、青年期の痛烈なアイデンティティ獲得の宣誓が、この冒頭のワンフレーズに集約されています。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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