なぜ私たちは惹かれるのか。読書界を熱狂させる至高の猫本たち

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猫と作家の親密な関係は、日本文学の歴史そのものと言っても過言ではない。その原点として燦然と輝くのが、夏目漱石の『吾輩は猫である』だ。人間社会の滑稽さやエゴイズムを猫の視点から冷徹かつユーモラスに風刺したこの金字塔は、後世の表現者たちに決定的な影響を与え続けている。

現代においてその系譜を鮮烈に継承するのが町田康だ。自身の愛猫たちとの濃密な日々を綴った猫エッセイの数々は、軽妙な文体の中に剥き出しの愛情と生老病死の痛切なリアリティを宿す。人間側の都合を一切押し付けず、対等な個として他者と対峙するその姿勢。漱石から町田へと脈々と流れる「観察者としての敬意」こそが、日本の文芸における猫描写を唯一無二の深みへと押し上げている。

林 結菜

林 結菜

ライフスタイル編集者

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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