教科書を覆す富本銭の新事実!和同開珎以前に隠された国家の野望
教科書を覆す富本銭の新事実!和同開珎以前に隠された国家の野望の概要と注目ポイントを一挙に解説しました。
富本銭と和同開珎を比較した際、最も際立つのはその材質と製造プロセスにおける技術的アプローチの違いである。最新の蛍光X線分析をはじめとする考古学・文化財発掘調査の成果により、富本銭には意図的にアンチモン(蒼鉛)が高い比率で添加されていたことが判明している。アンチモンを銅に混ぜることで溶融金属の流動性が高まり、鋳型の細部にまで金属が行き渡るため、「富夲七星」の文字や意匠が驚くほど鮮明に浮かび上がる。
国立歴史民俗博物館などの研究展示でも示されている通り、富本銭は極めて高い技術力を持った専属の工房(飛鳥池)で集中的に生産された、いわば「工芸品としての完成度を極めた初期通貨」であった。これに対して、708年に発行された和同開珎は、武蔵国で発見された銅を活用し、より広範な全国流通と税制(調庸)への組み込みを前提とした「大量生産型の標準通貨」としての性格を強く帯びている。富本銭という先駆的な実験と試行錯誤があったからこそ、和同開珎による本格的な通貨経済への移行が可能となったのだ。