空を埋め尽くす悪夢、食糧危機を招く蝗害の真相とAi防除の最前線
空を埋め尽くす悪夢、食糧危機を招く蝗害の真相とAi防除の最前線の全体像を分かりやすくまとめてご紹介します。
一匹一匹は手のひらに収まるおとなしい昆虫が、なぜ突如として狂暴な略奪者へと変貌するのか。その謎を解く鍵が「相変異」と呼ばれる劇的な生理現象だ。個体密度が低い環境で育ったサバクトビバッタは、緑色の体色を持ち、互いを避けて単独で静かに暮らす「孤独相」を保っている。この状態であれば、農業に対する脅威はほとんどない。
ところが、豪雨の後に草木が生い茂り、乾燥とともに狭い草地に大量の幼虫が密集すると、状況は一変する。幼虫同士の後脚が互いに触れ合う刺激が引き金となり、体内でセロトニンをはじめとする神経伝達物質が急増。体色は黄色や黒の警告色へと染まり、翅は長く伸び、筋肉量が増大した「群生相」へと姿を変える。集団行動を好むようになった彼らは、共食いを避けつつ餌を求めて一斉に飛び立ち、何億匹もの巨大な群れを形成してあらゆる植物を貪り尽くすのだ。