昭和の妖怪・岸信介とは何者か?安保改定と現代に続く権力の闇
昭和の妖怪・岸信介とは何者か?安保改定と現代に続く権力の闇とはどんな影響があるのか? 専門的な分析を整理してお届けします。
岸信介の権力基盤は、中国大陸の傀儡国家・満州国で築かれた。東京帝国大学を首席クラスで卒業後、農商務省に入省した岸は、やがて満州国総務庁の次長に就任する。事実上の最高実力者として君臨した彼は、統制経済を強力に推し進めた。五ヵ年計画を立案し、重工業化を一気に加速させる手腕は鮮やかだったが、その裏では過酷な労働力動員とアヘン資金の調達が蠢いていた。
経済官僚としての切れ味と、目的のためには軍部や右翼勢力をも手玉に取る辣腕。この満州時代に培われた圧倒的な資金力と人脈、そして冷徹なマキャベリズムこそが、彼が「妖怪」と呼ばれる所以となった。東條英機内閣で商工大臣として入閣したものの、太平洋戦争の敗色濃厚と見るや東條と対立して閣内不一致を起こし、退陣へと追い込む。危険を察知し、権力の中心で生き残る嗅覚は常人の枠を超えていた。