電磁波攻撃の正体とは?ハバナ症候群の機密解除データと防衛最前線
電磁波攻撃の正体とは?ハバナ症候群の機密解除データと防衛最前線の基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点で紐解きます。
生体に電磁波を照射することで頭部内部に音を直接知覚させる現象は、決して21世紀の産物ではない。1961年、米国の神経科学者アラン・H・フレイが発見したこの現象は、彼の名を取ってフレイ効果 (マイクロ波聴覚効果)と命名された。高ピーク電力のパルス状マイクロ波が頭部組織に極微の熱膨張を引き起こし、その音響波が骨伝導によって内耳に伝わることで「頭の中で音が鳴る」感覚を生み出す。
この現象の軍事利用にいち早く着目したのが米ソ両陣営だった。モスクワの米大使館にソ連側が微弱なマイクロ波を照射し続けた事件を契機に、米国側は国防高等研究計画局 (DARPA)を主導として極秘研究「プロジェクト・パンドラ (Project Pandora)」を発足。マイクロ波が生体行動や神経系に与える影響を徹底的に洗い出した。
当時蓄積されたデータは、電磁波が通信妨害にとどまらず、人間の判断力を鈍らせたり特定の不快感を生じさせたりする非殺傷兵器へ応用可能であることを如実に物語っている。現代の高度なパルス変調技術は、この半世紀前の基礎研究の上に成り立っているのだ。