昭和の巨星・永六輔の言葉と名曲『上を向いて歩こう』誕生の真相
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1994年に刊行され、200万部を超える大ベストセラーとなった随筆『大往生』。全国津々浦々を旅し、市井の老人たちの言葉を丹念に拾い集めたこの本は、タブー視されがちだった「老い」と「死」を日常の地平に引き戻した。「生きているということは、誰かに借りをつくること。生きてゆくということは、その借りを返してゆくこと」――永が紡ぎ出した言葉は、多くの人々の心を縛っていた死への恐怖を解きほぐした。
しかし、その飄々とした語り口の裏には、権力や欺瞞に対する激しい憤りが常に潜んでいた。晩年、パーキンソン病や骨折と闘いながらもマイクに向かい続けた永は、自らの衰えゆく身体すらも実況中継してみせた。死を美化せず、現実をありのままに見つめること。彼が遺した名言の数々は、自らの弱さと徹底的に向き合った末に絞り出された、命の結晶に他ならない。