過呼吸で手足がしびれる原因と対処法|絶対Ngな処置と救急車の判断基準

過呼吸で手足がしびれる原因と対処法|絶対Ngな処置と救急車の判断基準の基本情報から最新動向までを一挙に解説しました。

テレビドラマやアニメ、漫画などの描写を通じて長年「過呼吸には紙袋を当てる」という処置が常識のように信じ込まれてきました。吐いた息(二酸化炭素)を再び吸い込ませることで血中二酸化炭素濃度を回復させるという「ペーパーバッグ法」です。しかし、医療機関のガイドラインや救急救命の現場において、この方法は過去の遺物であるばかりか、極めてリスクの高い行為として明確に警鐘が鳴らされています。

関係各学会が注意喚起を徹底する最大の論拠は、過呼吸ペーパーバッグ法危険性に伴う死亡事故の発生にあります。紙袋やビニール袋を密着させて呼吸を続けさせると、袋の中の二酸化炭素濃度が急上昇する一方で酸素濃度が急激に低下し、容易に重篤な低酸素血症(酸欠状態)に陥ります。呼吸困難に苦しむ患者の顔を袋で覆い、不可逆的な脳障害や心停止を引き起こした症例が国内でも実際に報告されているのです。

さらに深刻なのは、「過呼吸に見える別の致死的疾患」に対してペーパーバッグ法を施してしまう誤認リスクです。突然の呼吸困難や胸の圧迫感、冷や汗を伴う病態の中には、心筋梗塞、肺塞栓症(エコノミークラス症候群)、気胸、重篤な気管支喘息など、一刻を争う器質的疾患が多数潜んでいます。もし心筋梗塞や肺塞栓症の患者に紙袋を被せて再呼吸を強制すれば、ただでさえ不足している心筋や全身への酸素供給を完全に遮断し、文字通り死に至らしめることになります。

現在、日本呼吸器学会や救急医学会の現場指針では、一般市民によるペーパーバッグ法の実施は「原則禁止・非推奨」とされています。良かれと思って手渡した紙袋が、当事者の命を奪う凶器になり得ることを、社会全体が共通認識としてアップデートしなければなりません。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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