禁固刑と懲役刑の違いは労働だけ?拘禁刑一本化で変わる刑罰の真実
禁固刑と懲役刑の違いは労働だけ?拘禁刑一本化で変わる刑罰の真実とはどのようなものなのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。
刑法第9条および第10条において、主刑の重さは「死刑 > 懲役 > 禁錮 > 罰金 > 拘留 > 科料」の順と明確に定義されています。つまり、法律上の序列として「懲役刑と禁錮刑はどっちが重いか」という問いへの結論は、明確に懲役刑が重いと規定されています。
懲役刑は身柄を拘束する「自由刑」に加えて、所定の刑務作業の義務を課す刑罰です。一方の禁錮刑は、受刑者を刑事施設に拘置して身体の自由を奪うものの、強制的な労務は科されません。法が懲役刑をより重い位置づけに据えているのは、自由の剥奪に加えて「苦役(労働)の義務」を付加しているためです。
しかし、決定的な違いは単なる作業の有無にとどまりません。根本にあるのは「犯罪行為に道義的な非難に値する悪性(破廉恥性)があるかどうか」という近代刑法の思想です。
懲役刑は、殺人、詐欺、窃盗、強盗といった道義的非難の極めて高い「破廉恥罪(故意犯)」に対して科されます。対照的に、禁錮刑が科されてきたのは、政治犯(内乱罪など信念に基づく行動)や過失犯(注意義務違反による過失致死傷罪など)といった、社会通念上「不道徳な欲望や悪意による犯行ではない」と解釈されてきた類型です。この犯罪者に対する精神的・倫理的な評価の差こそが、両刑を峻別していた最大の根拠でした。