なぜ深海でピンクに?キモカワ深海魚の正体と暗闇の進化論

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インターネットやSNS上で「ピンクの深海魚」と検索した際、最も多くヒットするのがニュウドウカジカ(学名:Psychrolutes marcidus、通称ブロブフィッシュ)です。人間の鼻のような大きな突起とへの字口、ピンク色にテカテカと光るブヨブヨした皮膚の写真は、世界中でネットミームとして親しまれてきました。

しかし、あの崩れたピンク色の姿は「過酷な水揚げによる急激な減圧損傷(ディフレクション)」がもたらした悲惨な結果であり、生きている本来の姿ではありません。この点について、現場の海洋研究者や水族館関係者は度々注意を促しています。

【現場証言と学術的事実:ニュウドウカジカの真実】

深海600m〜1,200mの水圧は、地上の約60倍〜120倍に達します。ニュウドウカジカは体内に空気の浮袋を持たず、海水よりもわずかに密度の低いゼラチン質の筋肉と水分で全身を構成することで、超高圧に耐えつつ浮力を得ています。
網で急激に水面へ引き揚げられると、体内の水分が膨張し、骨格が脆弱なため皮膚組織と筋肉が耐えきれずに崩壊します。さらに表皮が擦れ剥がれて皮下の肉がむき出しになることで、あのドロドロとしたピンク色の塊になってしまうのです。

遠隔操作無人探査機(ROV)が撮影した本来の生息域での映像を確認すると、ニュウドウカジカはピンと引き締まったヒレを持ち、流線型の端正な魚のフォルムをしています。海底でじっと獲物を待つ姿は、決して「世界一醜い生物」などではなく、極限環境に見事に適応した機能美を備えた生物です。「陸上でピンクに潰れた顔」だけが切り取られて拡散された現象は、ネットカルチャーにおける代表的な誤解の一つと言えます。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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