『容疑者Xの献身』堤真一の怪演が震わせる魂|壮絶な役作りと慟哭の真相
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東野圭吾による原作小説『容疑者Xの献身』に描かれた石神哲哉の風貌は、「丸顔で太っており、髪は薄く、およそ世間的な色気とは無縁の風采の上がらない男」でした。そのため、2008年の映画化発表当初、インターネット上の掲示板や原作ファンの間では「堤真一では格好良すぎる」「ミスキャストではないか」という強い懸念と批判が渦巻いていたのは紛れもない事実です。
しかし、劇場公開を迎えると風向きは180度激変しました。原作の持つ「容姿へのコンプレックス」という外形的な要素を、堤真一は「生きることそのものに絶望し、社会から完全に孤立した人間の精神的疲弊」という普遍的で深い孤独へと昇華させたからです。原作者である東野圭吾氏自身も完成披露試写の場で「堤さんの石神を見て鳥肌が立った。自分が頭の中で描いていた石神を超えている」と手放しの賛辞を贈りました。
映画評論家やカルチャー誌の論考でも、「外見の忠実な再現よりも、内面から滲み出る切実さと狂気を映像化したことが、本作を単なる謎解きから普遍的な人間悲劇へと引き上げた」と結論づけられています。原作の設定をあえてビジュアル面でなぞるのではなく、感情のリアリティでねじ伏せた稀有な実例と言えます。