サザエさんの作者・長谷川町子の波乱の生涯と結婚しなかった真実
今注目を集めている サザエさんの作者・長谷川町子の波乱の生涯と結婚しなかった真実について、詳しいまとめを整理して公開しています。
現在テレビで放映されているアニメ版『サザエさん』に慣れ親しんだ世代が、昭和期の原作漫画を開くと、その作風の激しいギャップに衝撃を受けます。テレビアニメが「昭和の古き良き日本のあたたかな家庭劇」を描いているのに対し、長谷川町子が描いたオリジナルの新聞連載版は、鋭利な切れ味を持つ痛快な社会時事風刺、人間のエゴイズムを暴くブラックユーモア、さらにはアナーキーなスラップスティック描写に満ちあふれた前衛的なモダンコミックでした。
敗戦直後のヤミ市や食糧難、インフレ、住宅難、新憲法下の女性解放運動、さらにはヒッピー文化や公害問題に至るまで、町子のペンは当時の日本社会が抱えていた生々しい現実を一切のタブーなく切り取っていました。サザエ自身も、おっちょこちょいでありながら気に入らない男たちを怒鳴りつけ、理不尽な世論には猛然と抗議する極めて自立的でパワフルな戦後ニューウーマンとして描かれていたのです。
出版史において特筆すべきは、町子とその家族が立ち上げた個人出版社「姉妹社」の存在です。大手出版社に版権を預けることなく、長女・毬子が社長となり、取次会社とのハードな交渉から印刷・製本、配本計画に至るまで家族だけで統括しました。中間搾取を徹底的に排除したこのビジネスモデルにより、長谷川家には莫大な富がもたらされ、高額納税者番付の常連となっていったのです。