自衛隊の秘密組織「別班」とは実在するのか?ドラマとの決定的な違いと闇に迫る
自衛隊の秘密組織「別班」とは実在するのか?ドラマとの決定的な違いと闇に迫るについて専門的な視点から解説いたします。専門家の見解をチェックしてください。
石井氏のスクープ以降、国会では野党議員によって別班の存在に関する追及が幾度となく行われました。しかし、歴代の官房長官や防衛大臣、内閣総理大臣は一貫して「陸上自衛隊にそのような組織は過去にも現在にも存在しない」と完全否定を貫いています。
政府がこの姿勢を崩さない背景には、国家統治上の極めて深刻な2つの理由が存在します。
第一に、シビリアンコントロール(文民統制)の完全な崩壊を意味してしまう点です。もし政府が「内閣や国会が把握していない秘密部隊が勝手に海外で諜報活動を行っていた」と認めれば、日本国憲法が定める統制原則に明確に違反することになります。旧日本軍の「軍部の暴走」という歴史的痛恨を持つ日本において、制服組独自の秘密組織の存在を公認することは政治的に絶対に許されません。
第二に、インテリジェンスの世界における基本原則である「もっともらしい否認可能性(Plausible Deniability)」の確保です。国家がスパイ活動の存在を認めることは、対象国に対する主権侵害を公式に自白することと同義です。工作員が万が一拘束された場合でも、「国家とは無関係の民間人である」と切り捨てる(トカゲの尻尾切りを行う)余地を残すために、政府最高責任者は「知らない、存在しない」と言い続けなければならないのです。