透明な珍味のれそれの正体とは?アナゴ稚魚の生態と極上の食べ方
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日本各地で「のれそれ(高知県など)」「タチウオの幼生(一部地域での俗称)」「ベロ(岡山県周辺)」など多彩な呼び名を持つこの小魚の正体は、ウナギ目アナゴ科に属するマアナゴの稚魚です。学術的には「レプトケファルス(Leptocephalus=葉状幼生)」と呼ばれ、平たく薄いヤナギの葉のような特異な体型をしています。
なぜここまで徹底して透明なのか。海洋生物学の研究によると、外洋の表層を漂流する幼生期において、捕食者である大型魚や海鳥の目から逃れるための高度な擬態(カモフラージュ)戦略であることが判明しています。レプトケファルス幼生は血管内に赤血球をほとんど持たず、体組織の主成分はゼラチン状の細胞外マトリックスと水分で満たされています。光をほぼ100%透過させることで、外洋という遮蔽物のない過酷な環境を生き抜いているのです。
近年の海洋研究開発機構(JAMSTEC)や水産庁の研究調査によって、マアナゴの産卵場所は日本の本州から数千キロ南に位置する九州・パラオ海嶺周辺の深海であることが突き止められました。孵化した仔魚は黒潮に乗って数カ月間かけて日本沿岸へと北上し、沿岸部に到達する直前に「変態」を開始します。この変態の直前、最も体が大きく透明度が高い段階の稚魚だけが、伝統的に「のれそれ」として漁獲されています。